外構の仕事を長くしていると、何度も同じような相談を受ける。
「最初から外構のことも考えておけばよかった」
「建物にお金をかけすぎて、外まわりまで予算が回らなかった」
「住んでみたら、道路からの視線がこんなに気になるとは思わなかった」
「駐車場が使いにくい」
「庭をつくったはずなのに、結局ほとんど使っていない」
「草取りがこんなに大変だとは思わなかった」
こうした声を、私は現場で何度も聞いてきた。
もちろん、お客様が悪いわけではない。
多くの人にとって、家づくりは一生に何度も経験するものではない。建物の間取り、住宅ローン、キッチン、お風呂、壁紙、照明、家具。考えることがあまりにも多い。その中で、外構や庭のことが後回しになるのは、ある意味では自然なことだと思う。
しかし、外構を後回しにした結果、あとで後悔している人は本当に多い。
家は、建物だけで完成するものではない。
玄関までの動線、駐車場の使いやすさ、道路や隣地からの視線、洗濯物を干す場所、子どもや孫が遊ぶ場所、将来の手入れのしやすさ。こうした日々の暮らしの多くは、建物の中だけではなく、外構によって大きく左右される。
ところが実際には、外構は「最後に残った予算で何とかするもの」と考えられがちである。
この考え方が、後悔を生む。
たとえば、建物を先に決めてしまったあとでは、駐車場の位置や台数、玄関までの動線、庭の使い方を大きく変えることは難しい。窓の位置と道路からの視線が合ってしまえば、あとからフェンスで隠すしかなくなる。庭を楽しむつもりだったのに、外に出る動線が悪ければ、結局使われない庭になる。予算が足りなくなれば、とりあえず砂利だけ、最低限の土間だけ、という形になり、暮らしの満足度は下がってしまう。
私は、こうした現場を何度も見てきた。
外構を軽く見ていたわけではない。
ただ、考える順番が遅かっただけである。
けれども、その「順番の遅さ」が、あとから大きな後悔になる。
外構は、見た目を整えるためだけのものではない。
毎日、車を停める。
毎日、玄関まで歩く。
毎日、外から家を見る。
毎日、道路や隣地との関係の中で暮らす。
つまり外構は、毎日の暮らしそのものである。
完成した瞬間だけきれいでも、暮らしに合っていなければ意味がない。写真映えする外構でも、使いにくければ長くは満足できない。逆に、派手ではなくても、駐車しやすく、歩きやすく、視線が気にならず、手入れが楽で、家族が自然と外に出たくなるような外構は、暮らしを確実に楽にしてくれる。
私は、外構とは「家の余白」ではなく、「暮らしの土台」だと思っている。
家づくりで本当に大事なのは、建物を立派にすることだけではない。
その家で、どう暮らすのか。
休日をどう過ごすのか。
家族とどんな時間を持つのか。
年齢を重ねたとき、その庭を維持できるのか。
近所や道路との距離感をどう保つのか。
そうしたことを考えずに建物だけを先に決めてしまうと、外構はどうしても帳尻合わせになってしまう。
そして、帳尻合わせの外構は、あとで不満が出やすい。
外構の後悔は、住んでから気づくことが多い。
だから厄介である。
図面の上では気にならなかったことが、毎日の暮らしになると気になる。
少しの段差、少しの視線、少しの使いにくさ、少しの手入れの負担。
その「少し」が、毎日積み重なる。
私はその現実を、長年の現場で見てきた。
だからこそ、家づくりは庭・外構から考えた方がいいと伝えている。
これは、建物より外構が大事だと言いたいわけではない。
建物と外構を別々に考えると、暮らし全体がちぐはぐになりやすいからである。
外構を最初から考えることで、駐車場の位置、玄関の向き、窓の取り方、庭の使い方、予算配分まで、家全体の計画が現実的になる。
後回しにしてから直すより、最初から考えた方がいい。
これは、外構の現場に立ってきた私の実感である。
外構は、なくても生活はできるかもしれない。
しかし、いい外構があることで、暮らしは確実に変わる。
家に帰ったときの気持ち。
休日に外へ出たくなる感覚。
家族が庭で過ごす時間。
人目を気にせずくつろげる安心感。
草取りや管理に追われない余裕。
そうしたものは、単なる工事費ではなく、これからの暮らしへの投資である。
多くの人は、外構を後回しにしてから気づく。
でも本当は、後悔してから気づくのでは遅い。
だから私は、これから家を建てる人、庭をリフォームする人に伝えたい。
外構は、最後に考えるものではない。
残ったお金で何とかするものでもない。
家族の暮らしを支える、大切な生活空間である。
外構を後回しにした人ほど、あとで後悔している。
その現実を、私は現場で何度も見てきた。
だからこそ、家づくりは建物だけで考えないでほしい。
庭・外構から考えることで、暮らしの後悔は確実に減らすことができる。
これが、私が外構の仕事を通して伝え続けたいことである。
by 丸山マナブ

